しろもうふのひきだし

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読書備忘録#1_岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた

読書備忘録#1_岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた

【読もうと思った動機】
言わずと知れた、任天堂の社長。たびたびほぼ日にも出ていて、わたしの好きな任天堂の、社長ということ、糸井重里と仲が良いということで気になっていた人物。
2015年7月11日になくなったと聞いたときはおどろいた。ポッカーンと、体の一部が欠けてしまったような気さえした。不思議な感覚だった。それほど、大きな要素を占めていたのだろう。
ほぼ日で、岩田さんと糸井さんの対談があるのは知っていて、それが本になるということで、即購入した。
結果、より岩田さんを尊敬することになりました。

【概要】
ほぼ日や任天堂公式HP掲載の内容を、章立てしてまとめた内容。口語調にまとめられている。
    
■1章 岩田さんが社長になるまで
高校生でプログラムできる電卓を購入。ゲームを作ってHPへ送ったりしていた。
大学では、授業そっちのけ、HAL研究所のきっかけ。そのころ任天堂が1万5000円でファミコンを発売。高価なPCよりも、こちらのほうがゲームを遊ぶ上で圧倒的に適していると考え、どうしてもファミコンと関わりたいと思うようになる。任天堂へ赴き、なぜか仕事をくれる。ピンボール、ゴルフを開発。そういや、バルーンファイトは、岩田さんがプログラムしたそうな。
33歳でHALの社長となる。負債15億。とんでもねぇ~。。
このような極限状態で、いろいろと分かるようになる。例えば、お金を返す時に、がんばってくださいね、というところと、返してくれないと困るといったような高圧的な態度を取るところ。ちなみに、高圧的なところは、早く名称が変わったそうな。例えば、社員。社員からすれば、会社から言われたとおりにやっているのに、結果がこれ?といったように。そして、社員と話すことにした。すると、発見がたくさんあったそうな。
もともとは、会社の強みと弱みを見つけて、社長としての判断をしようと思ったそう。
このような極限状態、そして社員との面談を通じて、「判断とは、情報を集めて分析して、優先度をつけることだ」ということに気づく。

相手が心からそれを言いと思ってそれを言っているか、と相手が感じることが大切。私心というものをどれだけちゃんとなくせるのかが、マネジメントではすごく大事だ、と考えている。
社内の仲間に対して、利害の発想はない。
同じ価値観が共有できていることがわかると、お互いすごく幸せになるんですよ。
面談は、相手がすっきりしたらやめている。言い換えれば、できるまでやる。そう決めた。

十何億という負債の会社の社長になるとき、逃げる、という選択肢は最初にあったが、まずそれを捨てた。
もし逃げたら、自分は一生後悔する。
一緒に汗をかいた仲間がいるのに、どうして逃げられるか、といった、美学とか、倫理とかそういうもの。岩田さんらしくないけど、それが岩田さんポイというか。不思議な人。
ただし、その覚悟はものすごいもの。開発の責任者でもあったので、自分を常に一番忙しいところに身を置くと決めた。なぜならば、どんな課題があるのかを見つけて分析して解決する力が当時社内の開発者として、自分がもっともあると思っていたから。なので、岩田さんが行くのが、会社の生産性にとってももっとも合理的であり、かつ社長でもある岩田にものを決められることを会社の人たちが納得するのは、問題解決の姿を目の前で見せることが一番良い。

自分たちは、何が得意なのか。自分たちは何が苦手なのか。それをちゃんとわかって、自分たちの得意なことが活きるように、苦手なことが表面化しないような方向へ組織を導くのが経営だと思います。

1章 感想
いや~はるかに今、オレの見えていないものが見えているよねぇ。とんでもない。こうやって岩田さんの言葉に触れることができているのが、望外の喜びです。
    
■2章 岩田さんのリーダーシップ
やったほうがいいことのほうが、実際にやれることより絶対に多い。物事に優先順をつけること、それが経営だと考えている。
仕事をするとき、同じくらいのエネルギーを注いでいるのに、例えば、100の苦労をした時でも100を喜ぶ人がいれば、500喜ぶ人もいる。
つらさに見合ったぶんだけ喜んでもらえないと、さらにつらくなる。苦労以上の評価をしてもらっているときは、社員もどんどん元気になって、どんどん伸びていくように感じる。
妙に評価してもらえるときというのは、放っておいてもどんどんいい結果が出て、いい循環になって、どんどん力が出ていく状態。これが自分たちに向いている得意なこと。
そうじゃないことは向いていないことだ、というふうに大体判断をしている。
基本的に、人間て、自分の得意なことと他人の不得意なことを比較して、自分は正当に評価されていない、不公平だって感じる。
会社は、持ち味の異なる普通の人が集まって、ひとりでは実行できないような巨大な目的を達成するためにある。
プログラムの世界では。全体の中の1%の部分が全体の処理時間の7割から8割を消費しているって言われている。
人は、手を動かしていたほうが安心するので、ボトルネックを見つける前に、目の前のことに取り組んで汗をかいてしまいがち。そうではなくて、一番問題になっていることはなにか、自分しかできないことは何かということがちゃんとわかって行動していくべき。だけど、それはしょせん仮説にすぎないので間違っていることもあるかもしれないが、そういう風に行動していくべきと考えている。

現状否定では理解や共感は得られない。現状を作り上げるために、たくさんの人が善意と誠実な熱意でやってきたわけでしょう?
自分たちのミッションは、いい意味で人を驚かすことだ。ということがハッキリした。
面談。自分のことで答えやすいし、なによりその人のことがわかる。なので、どうしてこの会社に入ったの?今までやってきた仕事の中でいちばんおもしろかったことってなに?いちばんつらかったことってなに?と聞く。
プロジェクトがうまくいくとき。最初の計画では決まってなかったことを、これ、僕がやっておきましょうか?というような感じで、誰かが処理してくれるとき。
「こうなりたい」というイメージをチーム全員が共有したうえで、現実的な問題が起こったとき、あるいは起こりそうなときに、誰かが発見して自然と解決していく。それが理想のかたちなのかもしれません。

自分以外のひとに敬意を持てるかどうか。
経営者がなんでもできるなら、ひとりでやればいい。自分が一番確実で、一番当事者意識があって、一番目的を知っているから。でもそうすると、ひとりの時間とエネルギーの限界ですべてが決まってしまう。
だれかとつながりながら何事かを成し遂げようとするとき、自分以外の人たち、別の意思と価値観を持って動いている人たちに、「敬意を持てるかどうか」がものすごく大事。
働くことに対するたのしさや面白みが、大きく変わってくるような気がする。
糸井さんが、自分の知らないことをできる人にすごく敬意をもって接しているのを見て、「かっこいい。ああなりたい」って思った。それは特別なことではなく、道徳観とかではない。自分の仕事を面白くしてくれる。

ひとはひとりひとり違うから価値があるし、存在する意味がある。ひとりひとりがみんな違う強みをもっている。そして、その違いを、きちんとわかりたいって思っている。
Wiiをつくるときに、本体をDVD3枚分の暑さにしてほしいとスタッフに言った。相当大変なのは、もちろんわかっているが、わからないふりをしてやるんですよ。難しいに決まってるんですよ。
リーダーがなんとかなるっていう前提で動ているからこそ、みんながなんとかしなきゃって思う。
やはり目標を定めるのが大切だということです。こうしたいんですよっていうところから、逆算して目標に向かっていくほうが正しいと思うんです。
DSやWiiが世界的に評価を得て受け入れられたことは、とても運がよかった。ただ、ひとつだけ自信を持って言えるのは、幸運を引き寄せるための努力を、任天堂という会社全体がものすごくしてるということ。

2章 感想
なんというか、深い人間愛みたいなものを感じた。

■3章 岩田さんの個性
なるべく、「なぜそうなるのか」がわかりたい。そうしないと気が済まない。
そのために、事実を見たら、つねになぜそうなるのかの仮説を立てる。仮説を立てては検証して、を繰り返していくうちに、より遠くがみえるようになったり前にはみられなかった角度でものがみられるようになる。
(これはある種の病だ、と糸井氏に言われるほど)
自分の価値体系の中には、「まわりの人がよろこぶ」とか「まわりの人がしあわせそうな顔をする」ということがすごく上位にある。そのためだったらなんだってしちゃうよ!
コミュニケーションが成立しているときって、理解と共感を得るためにどちらかがどこかで上手に妥協をしているはずなんです。
ご褒美を見つけられる能力。注ぎ込んだら、注ぎ込んだ先から何かしらの反応が返ってきてそれが自分へのご褒美になる。この循環を成立させられることこそがおそらくその人の才能だと思うんです。
つまり、才能というのは、ご褒美を見つけられる能力のことなんじゃないだろうかと。言ってみれば、ご褒美を見つけられる「ご褒美発見回路」のようなものが開いている人。
「明日、これがつかえるぞ」っていうことがないと、ご褒美を感じられないわけです。
自分の身の回りにあることとつながっていないことを無理に勉強しても、身につかないんですよ。だったら、それに時間を費やすよりも、自分が好きで得意なことをやろう、という優先順位になってしまうんです。
コミュケーションがうまくいかないときに、絶対に人のせいにしない。(プログラム開発の経験から。プログラムが動かない場合、100%、自分に責がある)
新しいなにかにぶつかって、いままでのやり方が通用しないようなところに進まざるをえなかったとき、まず、ほかに良い選択肢がないかを考える。自分がそうするよりも、もっといい選択肢はないのか。
自分じゃない誰かがそれをやるとどうなるか。そして、好きか嫌いかではなく、「これは自分でやるのがいちばん合理的だ」と思えたら、覚悟はすぐに決まる。
どうせやらなきゃいけないなら、さっさと覚悟を決めて前向きに取り組んだほうがいいじゃないってっことなんでしょうかね。

私が敬意を払って、良い方法を学ぶのは当たり前です。
料理が「多い」の根っこは「まずい」ことが問題だったりする。だから、「少なく」しても何も解決しない。
Apple任天堂に共通点があるとすれば「シンプルにすることによって魅力を際立たせる」ということだと思う。

3章 感想
私心がなく、公正で合理的、でも、美学とか倫理感も持っている。そして、周りハッピーにしたい。もしかしたら、つらい顔を見たくないのかも?

■4章 岩田さんが信じる人
宮本茂
アイディアというのは、複数の問題を一気に解決するものである。
ひとつの問題を解決するだけでは、汗をかいた分しか前進しない。
ときどき、たったひとつのことをすると、あっちもよくなって、こっちもよくなって、さらに予想もしなかった問題まで解決するという時がある。
「わかったよ、岩田さん」
組み合わせるとこういうことができるぞ。ふつうの人が気づいていない切り口であればあるほど、価値が出てくる。実は別の症状に見える問題が根っこでつながっていることがある。
「肩越しの視線」でお客さん目線で気づく。お客さんがわからなかったものは、自分が間違っている。
宮本さんは、軽々と視線を動かせる。いままで近くでみていたものを、突然ものすごく遠くから見てやり直すというか。虫メガネで見ていたかと思うと、地上一万メートルからもう一回見直してみたり。
そういうことをものすごく速くできる。ズームイン、ズームアウトの能力に秀でている。

ヨッシーは、機能として許されるかたちが恐竜に似ていたから。
宮本さんは、ちゃぶ台返し的なことはするけど、素材を無駄にしない工夫はすごい。
相手を動けないようにしてから避けようのない急所を突く

糸井重里
「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。いちからつくりなおしていいのであれば、半年でやります」
実際、どちらの方法でもやるつもりで、仕上げられたと思う。ただ、立て直す役としてあとから加わったので、選択肢を提示して選んでもらった。
だって、いままでつくってきた人たちがそこにいるわけですからね。いきなり現れた人間が「いちからつくり直します!」って宣言しても納得がいかない人が出てきます。
現場の雰囲気が壊れてしまったら、うまくいくものもダメになってしまう。ですから、可能性のある選択肢を提示して、選んでもらうほうがただしいと岩田さんは思った。
結果だけ見ると、岩田さんが入って一年でゲームが完成したわけですが、その1年でできたわけではなく、それまでの4年間があったからこそ、MOTHER2というゲームはできた。
その4年間が無駄だったわけでは全くない。悩んだ人たちの試行錯誤は全部、ゲームの中に活きている。
大人も子供も、おねーさんも。
「自分は、ほかの人がよろこんでくれるのがうれしくて仕事をしている。それはお客さんかもしれないし、仲間かもしれないし、仕事の発注者かもしれないけど、
とにかくわたしはまわりの人が喜んでくれるのが好きなんです。まわりの人がしあわせそうになるのが自分のエネルギーなんです。」
「オレもそうだ」
大切にしているものが非常に近い。

〇山内博
同じようなものをつくっても、個性はない。個性がないところには価格競争が起こるだけだ。
よく、向き不向きでものを語った。
得意なことを伸ばす、という岩田さんの才能論と根っこは同じ。
いままでと同じことをしてたらあかん。
信念がずっと変わらないですから、一貫して同じことをいつもおっしゃる。そうすると、それはどこかで我々に乗り移っていく。


岩田さんが見つけた、天才の定義。「人が嫌がるかもしれないことや、人が疲れて続けられないようなことを、延々と続けられる人」
見返りがあるかもわからないし、大変なこと。
自分が苦労だと思わずに続けられることで、価値があることを見つけることができた人は、それだけでとても幸せだと思います。

4章 感想
宮本ウォッチャー。
宮本さん、糸井さん、山内さんをそれぞれ別の意味合いで尊敬している。
自分の考えと同じ人がいると、安心するよなぁ。よくわかる。

■5章 岩田さんの目指すゲーム
ゲーム機が日常的に電源を入れられる存在になることが、いちばんのたのしみ。電源さえ入ったらぼくらの本領発揮。
ゲームは、自分で操作してインタラクティブにかかわる娯楽なので、自分への刺さり方が独特で、ものすごく強い。
暴論からはじめる議論は無駄じゃない。
家庭内でゲームが敵視されないようにするためにはどうしたらいいか、ということを延々と考えた。その時の仮説が、親が1日1時間と決めたら、ゲームを始めて
1時間後に本当に電源が切れてしまうという仕様はどうだろうかと思った。
それにしたって乱暴な仕様なんですが、なにしろわたしは・・・本気でしたので(笑)いや、ひどい話だとはわかってはいたんです。でも、それぐらい考えを極端に振り切って議論をしないと新しいことはできないと思った。少なくとも、そういう意識を持って話し合うことには価値がある、と。
結果的に、プレイ履歴による親子のやり取りを通じて、約束を守る流れができるほうがずっと魅力的だということになった。
従来の延長上こそが恐怖だとおもった。
まっすぐこの延長線上を行っても、未来はないんですから。未来のない道を、ゆっくり終わりに向かって進んでいくというのは、自分たちが努力する方向として意味がないと思ったので、そこはもう、腹がくくれてました。
ゲームをやっていなかった人がゲームをやり、ゲームらしいゲームをつくる。つまり、ライトなゲームも、コアなゲームもその両方が同時にあることが、両方にとっていいことなんだと思うんです。そういう幅があるべきだとわたしは思うし、どちらかしかないのは、不健全な気がするんですよ。
新しい人が入り続けることはとても大事なんです。新しい人が入るようにしておかないと、いつかかならずお客さんはいなくなってしまう。

「なんとなく」はいちばんダメなんですよ。
ほんとうに必要なものはなにかということを突き詰めていくと、それによって可能性が広がったりもするんです。つまりあれもこれもと欲張って入れるより、「削ることがクリエイティブ」になるみたいなところがある。
「オレは先に応援して損をした」って思われないようにしたいなぁとずっと思ってきました。時間がたつほど値段が下がるモデルというのは、お客さんに待ったほうが得ですよってメーカーが教え続けているような気がして。
仕様を決めるとき、ほんとうに大事なことは、「なにを足すか」じゃなくて「なにを捨てるか」「なにをやらないと決めるか」だというのをすごく実感しました。
制約は、クリエイティブの母なんですよね。
人間って、自分がしたことにたいしてフィードバックがあると、それによってつぎの動機が生まれるんですね。
逆にいうと、フィードバックのないことって続けられない。人は、フィードバックというご褒美を得て動いているんです。

5章 感想
暴論から始める議論は、とても良いと思う。多くの環境では、なかなか受け入れられないこと。
ITやエンタメは、作ろうと思えばいくらでも作れてしまう性質があるからなぁ。それによって、魅力が減るというのはよくあること。電化製品でもそうだよね。
そんなに機能いらないから、安くしてくれってことはよくある。

■6章 岩田さんを語る
宮本茂が語る岩田さん
やっぱり、物事を判断するときって、自分の持っている情報が基準になるので、信頼できる別の基準とすり合わせができるというのは、とてもありがたいんですよ。
岩田さんの本の読み方というのは、ふだん考えていることの裏付けを得たり、自分の考えを本を通して人に伝えたりするために役立てているような感じでした。
本の中に自分が考えていたのと同じことが書いてあると自分の確信がより強くなる。
ファシリテーターってようするに会議を健全に運営する人。クリエイティブが不足してたら足すし、多すぎていたらまとめるほうに回る。つまり、会議のプロデューサー。その会議で答えを出そうとほんとうに思っている人がいることがどんな会議にとっても大事ということを社内に説いて回っていた。
会社の経営など見える化しようとしていた。取締役たちがこんな風に考えて、いろんなことを決めているということを積極的に社員に知らせるようにしていた。
いろんなことをおもしろく共有する仕組みをつくることに気を配っていましたね(会議室の一角にTVをおいて、Wiiをやってもらうなど。工場長は汗びっしょりで、これはたくさんつくらなあかんわ、とこぼしたそう。
面談は、岩田さん個人の運営方針としてやっていた感じ。
岩田さんはときどき、カービィと呼ばれていた。

糸井重里が語る岩田さん
みんながハッピーであることを実現したいひと。
MOTHER2の開発にはいってくれて、技術というよりも姿勢みたいなものに魅力を感じて、会えば会うほど信頼するようになりましたね。
そういうことを通して、糸井氏自身にも責任感が生まれた。岩田さんがぼくらに希望を与えてくれたからですよね。「できるんだ」っていうね。
コンピュータにできることは、コンピューターにやってもらえばいいんですよ。人間は、人間にしかできないことをやりたいんですから。コンピュータが便利だからこそ、人間にしかできないことに興味を持っているようでした。
自分を後回しにして、みんなに配慮している感じ。だから、なにかを提案するときも、命令したり、号令をかけたりするんじゃなくて、「自分も考えてみたんだけど、こういうふうにやってみるのはどうだろう」とか、そういう気持ちがいつも混じっている。
HAL研の顧問になってくれと依頼をした時に、「まず、わたしの仕事観を全部お話しますから、それを聞いたうえで判断してください」といった。
おもに、「ハッピー」についての話でした。思えばずっと言い続けている。みんながハッピーであることを実現したい人。

6章 感想
後出しをしない。公正な人。相手に敬意を払っている。すごくよく考える。情報を見える化して、理解してもらい、共通の目的に向かおうとしている。

■7章 岩田さんという人
わからないことを放っておけない。
もともと、なぜ?を追求するのがすごく好きなんです。百科事典を読んで、わからないことどうしがつながるのがおもしろかったんですね。それが自分にとってのご褒美だった。
「どういう角度から考えても、これだったら全部説明がつく」というときに考えるのをやめるんです。「これが答えだ」と。
ちょっとずつ努力をして、それに対して、「あ、ちょっとわかったな、おもしろいな」という自分の変化の兆しみたいなものをご褒美として感じ取ることができたら、わたしはそれを続けることができるんです。

わたしはきっと当事者になりたい人なんです。手を出せば状況がよくできるし、なにかを足してあげられるけど、たいへんになるからやめておこう」と当事者にならないままでいるのは、わたしは嫌いというか、そうしないで生きてきたんです。「後悔したくないし、力があるならそれを全部つかおうよ」という感じなんですね。
自分が誰かと仕事をしたら、つぎもあいつと仕事がしたいと言わせようというのがモットーだったんです。だって、もうあいつとはごめんだ、とは、いわれたくないですからね。
新しいものを出すときは、いつも、何を出すときも怖いですよ、毎回。だから、あらゆることをやろうとするわけです。
わたしが経験してきたことで、無駄だったと思うことなんてないですよ。

7章 感想
自分なりのご褒美を見つけて、自分の経験に無駄だったことはないっていえる人生を歩みたいと思いました。

【この本を読んだ感想】
岩田さんの仕事観とか、個性とか、周りの人との関係性がよくわかって、すごくいい本だと感じた。口語調で、講義というか、話を聞いているようで、あきずに興味深く読むことができた。
私自身、ゲームは小さいころから大人になってもやるし、相当親和性が高い会社の社長で、より、親近感がわいた。
switchがとてもよく売れているけど、岩田イズムがきっと残っているのだと思う。BotWにも岩田さんポイ人や、岩田さんを想起させるような土地があったりと、社員からもとても尊敬されていたのではないだろうか。
私はビジネス書として読んだけれども、MOTHER2の開発裏話みたいなものもあって、単純に読み物としても面白い。
あと、任天堂の社長になるような人は、偉人のように、人とは比較にならないようなエネルギーをもって行動しているので、私みたいな凡人には真似はできないと思った。しかし、同じ方向に向かってがんばることはできる。

【今後活かせること】
意識だと思う。
岩田さんみたいに、当事者になろう、というのは、やったもの損といういまの環境では、正直なところ勇気が出ない。
しかし、みんなをハッピーにしたい、という根源的なことは同じ。そういう人がいるんだということがよくわかって、安心した。
マネジメントするようになったら、私心を消します。メンバーが力を発揮できる環境を整えます。

【具体的なアクション】
事実を見たら、つねになぜそうなるのかの仮説を立てる。仮説を立てては検証して、を繰り返す。そうすることで、違う角度だったり、より遠くだったり見えるようになる。
仕様を決めるとき、何をやらないと決める。なんでも詰め込まない。シンプル化の根源。
目標を決めて、逆算で目標に向かっていくこと。徹底する。
課題があった時に、すぐに手を付けない。ボトルネックをさがす。仮説検証を繰り返す。
ご褒美を見つけられる「ご褒美発見回路」を開くために、苦労せずしてできることを探す。
会議開催時は、ファシリテーターを強く意識する。

【気に入った文章・言葉を3つ】
・同じ価値観が共有できていることがわかると、お互いすごく幸せになるんですよ。
・現状否定では理解や共感は得られない。現状を作り上げるために、たくさんの人が善意と誠実な熱意でやってきたわけでしょう?
・ひとつだけ自信を持って言えるのは、幸運を引き寄せるための努力を、任天堂という会社全体がものすごくしてるということ。

【こんな人に読んでほしい】
岩田さんに興味のある人
任天堂に興味のある人
経営について、実際の社長から学びたい人
自分の考えが合っているか、本に求めている人
才能について知りたい人
MOTHER2というゲームを知っている人