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読書備忘録#6_PDCAプロフェッショナル

読書備忘録#6_PDCAプロフェッショナル 結果を出すための思考と技術
稲田将人さん

【読もうと思った動機】
トヨタの現場とマッキンゼーの企画」というキーワードに惹かれて。どちらも、一流の人材を排出して結果を出している企業なので、結果を出すために何か参考になればと思い、手に取った。

【概要】
トヨタの現場×マッキンゼーの企画=最強の実践力。どちらも対極的な志向性をもつ組織だが、表現の仕方と目線は違えども、本質的にはほぼ同じアプローチで問題発見と問題解決に取り組み、多くの方法論を展開する。
この本を読めば、PDCAについて、「本質的にどういうものなのか」「企業戦略との関係はどうあるべきなのか」「いかに使いこなすべきなのか」「PDCAが廻らない企業はどうなってしまうのか」「個人、マネジャー、組織がPDCAを回す力を体得するために具体的にどうしたらいいのか」がわかる。

■はじめに
「私はどこの会社でも経営できます。それは私がPDCAを廻せるからです」2002年トヨタ奥田会長の言葉。
PDACAは誰もが知っている言葉だが、まともに実践できていないのが現実。
Aに関して、繰り返すことの意義は、自社の方法論を磨き上げ、現実的にイノベーションレベルの進化も起こさせることである。
「企業の発展に必要なのは、戦略と実践力である」
実践力のトヨタ:現状の課題、問題点について、適切な見える化、目で見る管理をするための工夫に知恵を使い、その差異、異常値の理由を5回のなぜで追求し対策する。
戦略のマッキンゼーフレームワークを使った分析を駆使し、ファクトベースで事の因果を明確にして問題解決を行い、経営トップ向けのレコメンデーションを提示する。
表現の仕方と目線は違えど、本質的にはほぼ同じアプローチで問題発見と問題解決に取り組み、多くの方法論を展開している。
どちらもPDCAを高度に廻して、自らの方法論を進化させ続ける文化を持っている。

自分の書いたメモに、今いるステージによって重要な点が変わる本って書いてある。そうかもしれない。
自分が新人なのか、中堅なのか、管理職なのかで、見るポイントが全然違うと思う。


■1章 PDCAは企業の実践力を高める
実践力-長期にわたり成長しづつける秘訣
長期的に企業の安定成長をさせるためには、社内で精度の高いPDCAをよどみなく廻すことのできる卓越した組織の力が必要。
戦略とは自社のドメインでの競合を明確にし、自社の強みを活かし、市場シェアを伸長し、収益性の高く発展性のあるビジネスを作るかというプランであり、その際の経営の方向性、道筋を明確にしたシナリオのこと。 ん~長い。  つまり、自社のドメイン、強みを知っておくのは前提条件ですね。
戦略の前に、ドメインや強みを知っておく必要があるのか。考えてみればアタリマエのことか。
ex)ドン・キホーテの例 
宝探しの店。市場で唯一無二の業態 ←競合がいない。
強みの源泉が分かりにくい ←参入障壁となっている
競合が不在 ←出店余地がたくさんある
権限移譲型のオペレーション。人を育成しながら店舗展開(無理をしていない) ←堅実な事業展開
従業員に外国人が多い ←海外市場への展開も視野に入れている。

経営の2大要素 (重要)
戦略    進むべき道筋、成功に向けたシナリオ
実践力    道を進む能力 PDCA力、マネジメント力
つまり、S+PDCAでワンセット。(自分の解釈)
戦略は、実践力のある企業にのみ、有効。

優秀な人は経験を自ら法則化できる。メタ知識として経験を積み上げている。抽象化ってことね。ビジネスにおける学習とは、自らの経験を汎用性を持たせて精度高く法則化すること。
コンサルの先生が、「構造化と再現性」が重要って言ってたことを思い出しました。

PDCAを廻すと得られるものとは
仕事のできる人、企画力と実践力のある人は、PDCAの基本動作をまっとうに繰り返すことで正しく経験を積み、力をつけてきた人。
これってつまり、仮説-検証を繰り返してきた人ってことだと思う。こちらのほうがしっくりくる!
仮説があって、実行結果を適切に検証すれば、成功や失敗の因果が明確になる。おそらく、失敗の因果のほうが大きい。失敗しなければ成功なのだ!なので、失敗を避ける/しないことが大事。
この仮説検証を進化させていくことが大事。
言語化を進め、より高いレベルの経験則を得て、方法論を進化させていく。これを継続する。
ex)改善活動のパワフルさ
大きな声では言えませんが、自動車づくりの品質管理技術のレベルと比較すると半導体製造の品質管理はそんなむずかしいことではありませんよ。トヨタが改善活動をしている結果。

先読み力が向上できる。

閑話休題の話
トヨタ。最も重要な「ものづくり」の工程において、斬新なアイデアを競わせるという発想はない。(ラインにロボットを導入する件)。実際に導入し始めたのは、初期の不具合や課題が改善され、価格面でもかなりこなれてきてからだった。あくまで便利で安定した道具のひとつとして、考えていた。ロボットなどの先端技術に幻想は抱かない。
まさに、枯れた技術の水平思考の考え方ではないか。

ふぐの話は面白かった

次なる挑戦を可能にするという正のスパイラルを自らの意思で描き、しっかりと歩んできた方。そういう人が、出世をする。
ビジネスマンと生きていく場合、必要なのは要領の良さや処世術ではなく、自分の力を高めること。それが強力な無形資産になる。最も有効なのが、自分自身の廻したPDCAによって積み上げて培ったビジネスマンとしての能力。たしかに。社内政治や誰かの思惑に取り込まれないように何をするか。自分の意思。スタンス。それを言えるたしかな背景、自信。
企業内でプロフェッショナル経営者のレベルに近づき、かつ仮に社外に出ても通用する能力を培うためには、市場を起点にして果敢にPDCAを廻しにいくことを強く意識すべき。

自信は基本的に実践に裏付けされている。たとえ失敗したとしても、結果の検証(C)を行っている限り、場数を踏むたびに経験則が蓄積されていき、自身がついていく。
ex)トヨタは本質的にとても謙虚。都会的な日産に対し、ただ愚直に一所懸命努力をしてきた。トップも非常に謙虚で、言い換えればベタである。事業に対して、ひたむき。

果敢なPDCAが廻っていない企業では何が起きるのか
保身文化。自信がないから。
現状打破できるアイデアイデアがあっても側近の意見に流されたり、猜疑心にかられ甘言に惑わされた人事判断をしたり、とりあえずと決定を先延ばしにしたり、せっかく情報を集めても判断できなかったり、ほかの企業がやったことにしたがったり・・・。
「成功に秘訣などない。それは周到な準備、不断の努力、失敗からの学習の結果である。」コリン・パウエル
「成功する最速の道は、失敗率を2倍にすることだ」IBMの中興の祖、T.J.ワトソン

経営の意思としてPDCAを組織の文化にする
私の書いたモデル図
   S
   ↓
   P
 D   A
   C

ex)トヨタ。社員が自身の業務について「見える化」を推進する文化がある。さらに、主要業務の重要な管理ポイントとなる指標を見出し、「目で見る管理」の精度を常に上げ続けている。
Checkが機能しない組織は、思い付きを繰り返し疲弊していく。

1章まとめ
S+PDCA
PDCAは仮説検証、仮説検証の繰り返し(高速で)。どこを読み違えたのかなどの反省は当然、この活動に組み込まれている。仕事ができる人はこれを繰り返して、抽象化、法則化できている。
成功や成長のために、自身の能力向上のためにPDCAは大事だよってことをいろんな事例から説明している。
謙虚に、ベタに仮説検証を繰り返していこう。


■2章 優良企業の実践力-成長・発展し続けるために
実践力があってはじめて、戦略は機能する
言い換えれば、戦略は実践力がなければその価値は発揮されない。
戦略は、合理的に組み立てられたものであるものの、見方を変えればただの初期仮説。いくら良質であっても。金科玉条のごとく奉る特別なものではない。
実践力は、戦略を調整・改善し、進化させるもの。この実践力は、精度高く、高速にPDCAを回した結果として得られる。
「とりあえずやってみる」ではやらない。きちんと仮説を立てる。
報告の作法が社内に根付いている必要がある。トップが何を知りたいか?市場起点のPDCAを廻す際の報告内容。
「人、性善なれど性怠惰」問題点を顕在化させることは美徳であるという文化がないと、隠しておきたくなるのが人。

徹底してPDCAを廻す日米の代表的な2大企業
ex)トヨタ 現場の知恵を組織の知恵に転換
QCDの追及を含め、自動車ビジネスに求められるすべての企業の能力を磨き続ける文化と習慣をもつ存在。
トヨタの生産方式の思想を一言でいうと、「現状のやり方の課題や問題点を常に表面化させ、検証できるようにする。そして見つかった問題点の改善をする」。なので、検証のための見える化の方法論の進化に知恵を使う。例:稼働率100%である状態は、見えないムダが潜んでいると考える。在庫レベルを限界まで下げて、もし清々と生産が流れずにラインが止まる場合、どこに作業の偏りがあるのか、追求できる仕組みになっている。常に改善の余地が隠されているという前提に立って、問題点を顕在化させて改善していくPDCAを廻す文化ができている。
見込み違いや失敗を表面化させることを美徳とする企業。表面化させて、速やかに修正を行うことが当たり前である企業文化ができている。
ex)ウォルマート PDCAの精度とスピードを上げ店舗の商品構成を最適化
フェア。本社は質素な執務スペースがある程度。近くの物流倉庫は、最新鋭の機器など積極的な設備投資が行われている。お金をかける意味のないところには一切お金をかけない。
フェア。ウォルマートのバイヤーがコカ・コーラ社に行って、飲み放題なんだけど、1ドル札をテーブルの上に置いて帰った。フェアネスがストイックなほど企業文化になっている。
担当カテゴリーの分析に時間を割く、つまり商売にとって最も重要な課題への取り組みに多くの時間を割く。価格交渉には時間をかけない。
日次でPDCAに取り組んでいるらしい。

この2社は、どちらも社員を大切にしている。
トヨタ:創業のころ、人員整理した過去がある。以降、「もし人材に手を付けるならば、まずは自分自身に手を付けるように」、という不文律がある。
ウォルマート:街の中の看板に、「従業員のみんな、いつもありがとう」
人を大切にする。だから人が安心して力を発揮し、事業が世の中に貢献できる。PDCAを廻す主体である社員を大事することが、大前提としてある。
「仕事は私たちを、退屈、悪徳、欲望という3つの悪行から救ってくれる」ヴォルテール。 まっとうに仕事に取り組める環境は、昔から「思惑」の蔓延を防ぐ。

真にPDCAが廻っている状態:常識的で前向きな人たちが、のびのびと挑戦的な課題に取り組んでいる状態。

閑話休題 仮説思考について
物事を仮定しPDCAを廻すことは、解に最も早く到達できると実証されている方法論。マッキンゼーでも推奨されている。 なので、この考えに自信をもっていいのではないだろうか。
最も良質な初期仮説を得ることができる場所、それは現場。

市場起点で考える-ビジネスの本質は「変化対応」
3Cの市場、競合、自社は、時間とともにダイナミックに変化する。だから、市場起点にPDCAを廻す体制が必要。
市場起点でのPDCA
各事業、各レイヤーでのPDCAが大事。

2章まとめ
トヨタは、常に改善の余地が隠されているという前提に立って、問題点を顕在化させて改善していくPDCAを廻す文化ができている。
実践力にて、戦略も必要に応じて進化させる。
PDCAを廻す主体である社員を、トヨタウォルマートも大切にしている。
市場起点のPDCA、各レイヤーでのPDCA
仮説思考はめちゃ大事。解に最も早く到達できると実証されている。

PDCAを廻すような何か仕組みを考えるか・・・
見える化・・課題一覧はあるけど、その課題が出た背景とか?仮説がないと始まらないな・・・。


■3章 なぜあなたの会社のPDCAは廻らないのか
PDCAを阻む最大の要素「人、性善なれど、性怠惰なり」 という人の弱さ
成長が進むと、慢心が出てくる。報告も「こうだろう」という感覚での口頭レベルでの報告に終わってしまう。市場に勢いが残っている場合、気づかないうちに顧客の期待を裏切ること、あるいは顧客の意にそぐわないかたちでビジネスが展開されてる状態。市場との乖離が生まれている。PDCAが廻らなくなって、事業体として機能不全が起きている状態になってしまう。

PDCAの出発点であるPの立案精度が低い
例えば、中国でビジネスを行うという事業展開を言い出した場合。「なぜやるのか、なぜそのやり方をするのか」は、明確に記しておくべき。たとえ社長が言い出して意思決定がされていたとしても。だって仮説だから、読みの部分は多分にある。ここで最も重要なのは、「この進出の決定から撤退までの一連の流れにおいて、企業は何を学習してきたのか」という点。

PなくしてCならず。これが「本気の失敗には意味がある」のこと、かな。
問題点を特定できれば、打ち手の修正議論に進めることができる。Pがなければ、失敗から学習ができない。
ex)コカ・コーラ。海外展開の経験則から、まず適切なパートナーを探して、自分たちには不得手な部分はやってもらい、利益も渡すというのが良いやり方だと学んだ。

最も重要な「PDCAの実践設計」の軽視
企業は、戦略実践のプロセスが作りこまれていないから、組織が動かない。戦略が精度高く的確に実践できるようにするためには、現場に至るまでそれが咀嚼できていることが重要。
改革は、いま存在する秩序を変えること。阻む大きな要素は、人の思惑。
実践設計では、次のようなことをすべき。
・経営側が、部門別にPを展開し、トップとすり合わせをおこなう。
・経営側が、定期的な実行状況を確認して、かじ取りを行う。

PDCAには、的確に見える化された検証のための帳票や制度の高い会議体の設計が必須になる。これを認識していないと実行段階で躓くことになる。
言葉遊びのようだが、必要なのは実行力ではなく、実践力。
実行力は言われたことをそのまま遂行する能力。
実践力は、状況に応じて自律的に舵取りを行える能力

創業者のワンマン型の事業運営から脱却できない
ワンマンの場合トップの好む企画を出す能力が磨かれ、市場に受け入れられるアウトプットを出す能力が磨かれない。
ビジネスにおいて必要なスキルは、自分の実体験を通して得られる知識と知恵の体得。
PDCAの体制作りは、その重要性に気づいた誰かが取り組まねばならない企業最大の課題となる。

PDCAは読み違えた点について、その理由を追いかけて明確にし、組織の知恵として共有化するためのもの。これを表面的な検証で終わらせたり隠蔽したりすると正しく言語化された因果の共有化への努力がなされなくなる。共有がされないだけでなく、本人も失敗の理由があやふやなままに放置することになり、企業にとっては大きな財産となるはずの「お金と手間をかけて起きた、せっかくの失敗」が学習につながらなくなってしまう。

PDCAを廻して事業活動がうまく「見える化」されていると、様々な意思決定を理にかなった形で表現することが求められる。企業がくさる原因の、思惑をかなりのレベルで防ぐことができる。
当初の読みというのは多かれ少なかれ外れるもの。自ら読みを外したことを認めて、その理由を探って修正を行っていくのがPDCAの肝。So What(だからなに)?が学習を促す言葉。
PDCAがうまく廻るための基本動作は、PDCAを廻す当事者の「大人」としての素直さと謙虚さ(幼稚なプライドは不要)、PDCAを廻させる側である上席者のPDCAを上げることへの執念、のふたつ。
PDCAの精度は、「成功、失敗の因果を正しくつなげることができるか」にかかっている。
読み間違いやミスを認めて、それを前向きに対処することを評価する企業や組織文化を意識して作らないといけない。

改革の成果が出るまでに1年以上を必要とする場合
低迷状態の企業はふたつの課題がある
市場のとの乖離を起こし、再成長軌道に入れるためのシナリオである戦略が見えていない
実践力も低迷してしまっている
ほとんどの会社は、戦略+実践力(PDCA)の強化で立ち直ることができる。
V字回復の兆候は見えてくる。その場合、定期報告の場で、PDCAのサイクル、ソリューションをどう考えているか、その兆候の詳細を報告し、状況理解を共有する必要がある。
適切な頻度で、不要といわれようが最低限の情報をINPUTする必要がある。

3章まとめ
PDCAが廻らなくなるのは、「人、性善なれど、性怠惰なり」 という人の弱さ。慢心が続き、「このくらいでいいや」という程度の仕事になってくる。そうすると、PDCAが廻らなくなって、事業体として機能不全が起きている状態になってしまう。結果、Pもしょぼくなる。そして、Cもしょぼくなり、PDCAはどんどん廻らなくなる。本気の失敗にならず、大きな財産となるはずの「お金と手間をかけて起きた、せっかくの失敗」が学習につながらなくなってしまう。自ら読みを外したことを認めて、謙虚にPDCAを廻す、廻させることが重要。できないなら、そういう組織文化を意識して作らないといけない。


■4章 PDCAを廻すために必要なこと-個人、マネジャー、そして経営層にとっての技術
個人が的確にPDCAを廻すための技術と姿勢
PDCAを廻す目的は、事の因果を明確にしてさまざまなビジネスに必要な成功則を導き出し取得すること。個人として意識すべきことは次の3つ。言語化と三現主義、見える化、逃げない姿勢
言語化と三現主義:論理性を大事にし、五感を通した感性を駆使する
事業規模の拡大、市場の変化などが起きる中、組織内の適切なコミュニケーションの仕組みづくりに経営層が知恵と神経を使わないといけない。そうでないと、コミュニケーションが取れずPDCAを廻すことができない。なので、言語化が必要。また、仮説を立てて、理をもって因果を解いていく必要がある。それにも、言語化が必要。アートは、まだ十分に言語化されていない世の中の事象のこと。サイエンスは、言葉で論理的に説明できるようにすること。つまり、アートをサイエンスするということ(言語化)が大事。ただし、言語化への考え方の注意点として、言語化は、言語化されていないことへの絶え間ない挑戦と捉えるべき。5感をもって、現場、現物、現実に接し、最も良質な一次情報に接しタイムリーに必要な情報を得ることがPDCAの基本になる。
閑話休題の件:読書は言ってみれば自分の頭ではなく、他人の頭で考えることである。自分なりに咀嚼して考えることが大切。書物には、その知恵が適用できる前提部分がすべて書かれているわけではないので注意。外部の力を借りるときも同じ。外部の知恵をうまく活用できれば、短期間でのV字回復も可能なので、その知恵をうまく選別でき、使うことのできる能力も企業の力として蓄えていく必要あり。

見える化:目的に合わせて、見える化を工夫する
表現したり書いたりすることは、課題構造を明らかにする。例えば、分析とは、事象における差異を分かりやすく比較できるように見える工夫をして、因果を明確にしていくための「見える化」の作業(たしかこれは、安宅さんも言っていたな。。。)。
ex)トヨタ。「目で見る管理」を行っている。これは、管理ポイントを見える化するということ。常に、問題点を顕在化させようという思想がある。
資料作成は、単なる報告だけでなく、論理的に考えて、誰にでも理解が容易で納得させることのできる思考の過程を、わかりやすく見える化するということ。

・逃げない姿勢:自分の成長のためのPDCAである
自信の真の能力として知となり肉となる経験は、PDCAを廻しながら積み重ねてはじめて学習となる。
保身や他責行動は慎む。企業改革における悪とは、利己主義が相当する。企業単位では、全体最適な動きをすべきだが、利己主義で企業全体として好ましくない方向に動く場合、それはやはり悪。なので、結局PDCAを廻す取り組みは、利己的な動機や考えがビジネスの中に入り込まないよう「見える化」し、トップの意思もしっかりと理解して全体最適となる方向性に導くということ。
まず、自分自身に対してイニシアティブを発揮する、つまり逃げない姿勢を意識し、実践するところから。新しいことについては、それをやらない理由など無限に見つけることができる。リスクを読んだらそれで行動を止めるのではなく、その挑戦で得られるものを明確にした上で行動し、PDCAをまわすことで正しい自信が得られる。

組織としての「PDCAを廻させる」仕組みづくり
組織のPDCAにおいて最も重要なのは、「組織としてある方向に向かって精度高くPDCAが廻っている状態をいかにつくるか」である。言い換えると、「人、性善なれど性怠惰」である圧倒的多数の人々に「いかにPDCAを廻させるか」ということ。マネージャーがその部門で日々何をしているのかわからないような状態では、その業務のPDCAを上げようもない。
PDCAの実践設計において、PDCAサイクルを機能させるためには、仕組み(業務内容の定義、報告帳票の設計、会議体の設計、管理ポイントの明確化)と運用(PDCAの推進、方法論の改善Aを進める)が必要。
見える化は、段階的に精度を上げていく。そうでないと、実態とは違うものになり形骸化する恐れがある。
報告帳票に関して。業務がうまく遂行されているかどうかの実態を的確に示す「管理ポイント」となる数字や事実をいかにわかりやすく表現できるかが重要。すべての業務には、この数値を見る、あるいはこの事実を押さえておくべきという「管理ポイント」がある。トヨタは、目で見る管理を徹底していたよね。「目で見る管理」=「管理ポイント」+「見える化」のことでした。この管理ポイントは自分が一番見たい数字や事実。なので、帳票設計には上席者の意思が反映されている必要がある。「管理ポイント」は、業務レベルや市場の変化に合わせて改善、進化させることも必要になり、ここでもPDCAのAを常に実践することになる。また、PDCAサイクルはチェーンのごとく次のサイクルがつながっていくことで振り返りが次のPに反映される。PDCAPDCAPDCAPDCA・・・。なので、報告帳票には「連鎖性」を持たせることが必須事項。
権限移譲とは、PDCAを廻す主体を徐々に担当者に移行し、自動航行できる状態にして、上席者は計器を見ていればよい状態を作ること。
ex)米国では、一旦方向性を握れば日々細かいところまで口出しをしないが、一般的に四半期の報告会はしっかりと開催し、PDCAが廻っているかどうかを確認する。

マネジメントの役割
PDCAを廻すマネジメントを行うということは、事業運営において、起きていることや判断の理由をあからさまにできるよう、ファクトベースで言葉やビジュアルで理にかなった説明をする状態を作ること。なので、理にかなっていない報告、不明瞭な報告には、ドライバー役のみならずギャラリーからもなぜ?が尋ねられるようになる。つまり、お天道様は見えていますよ状態を作り出すことができる。

戦略と実践力、そしてそれを支える正しいリーダーシップが存在している状態になってはじめて、企業は健全な成長軌道に入っていくことができる。安心して社員が前向きに課題に取り組みPDCAを廻すことで、初期仮説であった戦略もさらにブラッシュアップされていく。PDCAが廻れば、さらに健全なリーダーシップは確固たるものになっていき、戦略の立案精度も上がる。こんな感じで、戦略、実践力、リーダーシップは連関して好循環に入る。

4章まとめ
PDCAとは、成長すること。ここでは、ビジネスに必要な成功則を導き出し取得することとある。言語化と三現主義、見える化、逃げない姿勢という3つが個人として意識すること。言語化は、言語化されていないことへの絶え間ない挑戦と捉えるべき。見える化は、「目で見る管理」=「管理ポイント」+「見える化」。誰にでも理解が容易で納得させることのできる思考の過程を、わかりやすく見える化する、それが資料作成。逃げない姿勢は、やらない理由など無限に見つけることができる。リスクを読んだらそれで行動を止めるのではなく、その挑戦で得られるものを明確にした上で行動し、PDCAをまわす。そうすることで正しい自信が得られる。
PDCAサイクルを機能させるためには、仕組み(業務内容の定義、報告帳票の設計、会議体の設計、管理ポイントの明確化)と運用(PDCAの推進、方法論の改善Aを進める)が必要。業務がうまく遂行されているかどうかの実態を的確に示す「管理ポイント」となる数字や事実をいかにわかりやすく表現し、押さえることが重要。報告帳票は、PDCAPDCA・・・の連鎖性を持たせることが必須。
ファクトベースで言葉やビジュアルで理にかなった説明をする状態をつくり、PDCAを廻すことで「性怠惰なり」の部分を極力排除し、お天道様は見ている状態にすることで、企業は健全に成長する。戦略、実践力、リーダーシップの好循環も期待できる。


■5章 P・D・C・A それぞれの作法
P もっとも重要なプランニングの作法
Pが記述されていることは大前提。そうでないと、Cができない。
ポイントは、基本作法と、正しいソリューションスペースの捉え方のふたつ。

<基本作法:what-why-how>
4つのステップ。とても重要。Cがとても楽になる。どういう事実に基づいた方向性なのか、押さえどころはどこか、細部の決定事項の前提は何なのか。これらの点が明確なら確認ポイントや、戻る場所も明瞭になる。
1.現状把握 ファクトベースの見える化
成功のために必要な円がを明確にしていくための最初のステップ。基本的には、数字などの事実をもとに、良い結果、悪い結果に結びついたであろう原因となるものが見えてくるように見える化の工夫を行う。例えば、時代分析。縦軸に売上と利益、横軸に時間軸をとって、変化を折れ線で示す。大所の施策を書いておけば、何が効いて何が効かなかったのかなど因果を見える化することができる。基本的に、未来は過去の延長上にある。見える化の効果として、「気が付いていなかった、自社の思考や行動の際の癖」という大切な気づきが得られる。その癖が負の方向に働いている場合に、気づけるのは大きな成果。
週次など短いサイクルで定期的に廻すPDCAサイクルの場合は管理ポイントが決まってくるため、数字の表現の仕方が重要になる。
2.意味合いの抽出と解の方向性の明確化
見える化したら、その事実に基づいてそこから何が言えるのかを明示する。深堀することで課題を特定し、解の方向性を明確にする。ファクトベースで理にかなった深堀を行いながら(意味合いを抽出して)、どこに課題があるのかを明確にする(解の方向性)。
ex)トヨタの5回のなぜ。モグラの例
庭にモグラが出てきて困るので、モグラの穴をふさぐのが応急対応
モグラの巣、そのものへの対応を行うのが恒久対応
意味合いの抽出はその事業や役割に精通していないと的確にはなかなかできないがPDCAを何度も謙虚に廻すことでその能力は上がる。
3.施策の決定
解の方向性が明確になれば、具体的な打ち手の評価して決定する。例えば、ベストと思われる3つ程度の提案を客観的に比較して、どの案にするか決める。どの案もメリットデメリットはある。総合評価に対してレコメンドを記述して、責任者の決済を受ける。
4.実行計画の策定
上席者にどのタイミングで進捗状況を報告するかを、必ず計画の中に書き込む。報告する場合、どこからチェックが入ってもいいように意図通りに実行されているか、管理ポイントとなる数字をしっかりと確認しておくなど押さえどころを確認しておく必要あり。

<正しいソリューションスペースの捉え方の重要性>
ソリューションスペースとは、「問題点がどこにあるのか、そして打ち手はどこで検討すればよいのかを明確にする土俵」。イメージは、ロジックツリーの特定の枝葉に絞り込むという感じ。
ソリューションスペースは、課題を定義するにあたり、押さえておくべき広がりや因果を見える化するもの。そして打ち手の広がりを漏れなく確認していくためのもの。ロジカルに確認しないと、思い込みで打ち手を決めてしまう。ex)賃料は売上比率のXX%まで→業態としてまったく魅力のない店ができた。賃料は高いが来店する顧客が増えるリッチに展開した競合に負けた。  在庫は欠品してよし。在庫をしたら評価を下げる→当たりの商品が出ても在庫がないので大した売り上げにならない。事業規模が右肩下がりに。  無添加にこだわる→消費期限が大幅に短くなる。廃棄リスクが大きいので店頭のフェーズ数が少なるなる。結果、売上が下がった。
要は、MECEが大事。そして、ソリューションスペースをにらみ、「ゲームが変化する」市場で、管理ポイントの変化を意識することが重要。

D 精度の高い実施があってはじめてCが可能になる
現場において精度の高い実践がなされるためには、whyの共有が必須。whyのない企画はつべこべ言わずにやれ!と同じメッセージ。whyをわかりやすく表現して発信することは、Dの精度を上げるために重要。きちんと背景を説明しろってことだな。現場社員の式を高めるために、販売員向けのビデオを撮ったりする会社があるほど。パッションをもってお客様にオススメすることで価値が伝わり、売上、顧客満足度が上がりファンになってくれる。
社員の士気(背景やwhyを理解して、腹落ちさせて実行させること)がとても重要。

C 謙虚に、そして客観的に結果の検証を行う
因果の読みが明確になっていることが必要。
PDCAのDの結果を検証するための基本動作は、PDCAのドライバー側と報告側で行う。
・ドライバー側は、whyの徹底、つまり因果の不明瞭な部分は妥協せずに、徹底的に言語化や視覚化を促す質問を行う。 因果を明確にするため。
・報告する側は、一目で因果が分かり、ドライバーやギャラリーから質問が出ない状態を目指す。想定される質問点は、すべて記述がなされているように報告書をまとめる。
つまり、ドライバー側が自分の言葉で語れるようにすること。whyの徹底、一目で因果が分かるような工夫。
※写P190 
見える化されたデータをもとに、良かった点、読み外した点、そこから得た示唆(わかったこと)を、次のPへ反映させる。
whyを促さなくてもわかりやすく表面化されるように、帳票や発表の作法を修正していくこと。
PDCAが廻っている限り、叱責の対象にはならない。ただし、理にかなった因果の説明は必須だし、次のPへ反映させることも必要。
何度やっても成功しないときは、単に思いつきを実行しているか、あるいは幼稚なプライドにとらわれていると思うべし。
skillに問題があるのか、willに問題があるのか。気づかせるのも、上席者の仕事。
失敗はその要因を分析する対象、つまり学習の対象。オープンにすべき。その失敗を価値あるものにできるかどうかで、人も企業も成長が決まるといっても過言ではない。

A 方法論を磨き、ビジネスプロセスを進化させる
Aとは、Pの修正ではなく、事業運営やPDCAの廻し方などの方法論そのものを直して進化させていくための改善行動のActionのこと。
ex)日本の製造業。ものづくりの強化のPDCAは、QCD。品質を上げればコストがかかるという一般論があるが、そうではなく工程やものづくりの手順の改善(A)によって、プロセスの最適化を進め、独自の強みを積み上げてきた。特に、D(生産LTの短縮)は、在庫レベルをギリギリまで低くでき、市場の変化に追随して急ハンドルを切りやすい状態にできた。 ex)トヨタオイルショック時に、市場では燃費の良い車が求められていた。トヨタは、仕掛在庫が極限まで少ないものづくりだったため、即座に燃費の良い車を市場に投入することに成功した。
真因は、人ではなくやり方にあるという前提。アッタリマエだ。責任の追及が必要になるのは、本来原因の追及を行い事故の再発防止や制度やシステムの不具合ポイントの明確化を行わなければいけないはずの当事者が、その因果を明確にせず、最善の対策を取ろうとしていない場合。なので、責任の追及よりも、対策を優先する文化づくりが大事。未来志向、ですかね。

5章まとめ
Pは、お作法に則って実行することが大事。検証のしやすさにモロに影響する。ファクトベースに、意味合いの抽出をして、解の方向性を出していく。実行計画には、報告タイミングも決めておく。ソリューションスペースは、ロジカルにものを決めていかないと、どこどこの会社のように、おかしな対策をして資源を無駄にしてしまい、撤退を余儀なくされるかもしれない。管理ポイントは決めるが、変化に対応できるようしておくためにもソリューションスペースは、大切。
Dは、社員の士気を高め、腹落ちさせ実行させることで精度の高い実施ができる。Cのためにもとても重要なこと。
Cは、謙虚に客観的に。ドライバー側が自分の言葉で語れるようになるまで。失敗を価値あるものにできるかどうか。それが企業や人の成長につながる。
Aは、方法論を進化させること。真因は方法論にある。原因を追究し、課題を明確化し、次へ活かしていこう。Pへ、反映させていこう。


■6章 PDCAの事例
事例1:営業マネジャーの週次活動のPDCA
事例2:売上、収益を最大にする商品部のPDCA
どちらも、いままでの総仕上げといった位置づけ。困ったときに、具体例が役立つかもしれない。


■おわりに
組織で廻すPDCAの基本的な考え方は、社内があるべき形で廻っているかどうかを社内で分業してみていこうということ。そして市場起点のPDCAを廻しかつ精度を高めていくことで市場志向の成長軌道入りをする。これが継続できた企業や組織が発展を続けることができる。PDCAが向かい合う対象は、「人、性善なれど、性怠惰なり」という人間の本質部分。
成長志向よりもリスク回避を先行させる減点主義の評価は、企業の力、国力を弱める。適切なリスクを取ることが大事。
企業の成長の源泉になるのが、挑戦と失敗からの学習。PDCAを廻す力を向上させることに注力し、「自ら打席に立ちバットを思い切り振る」挑戦にひるむことがなくなる「自信」を培うことが日本の活性化につながる。


【この本を読んだ感想やまとめ】
S-PDCAを学んだ。PDCAとよく言われるが、腑に落ちない人がほとんどだと思う。そういう私もそうだった。
というのも、PDCAとだけきくと、スタートがPの計画から始まるからだ。その計画ってどこから来たの?妥当性は?と考えたときに、なんでPDCAとばかり声高によく言われるのかが理解できなかったのだ。この本で学んだ、S-PDCAの「S」はStrategyだ。PDCAの前にまず、戦略があって、その戦略に従って戦術、つまりPの計画が始まるわけだ。これでようやく経営の意思からつながり、PDCAも理解できるようになってきた。
重要なのは、P。どれだけ事前に考え抜かれたか。どんな仮説を立てて、検証していくかの精度が重要。この精度は、経験値をためて、上げていくしかない。これもまたPDCAだ。Pをがんばればがんばるほど、DもCも楽になる。振り返る点が明確だからね。なので、どのような管理ポイントを置くかも重要になってくる。
トヨタの生産方式の思想を一言でいうと、「現状のやり方の課題や問題点を常に表面化させ、検証できるようにする。そして見つかった問題点の改善をする」。文化。
「お金と手間をかけて起きた、せっかくの失敗」は学習につながる、かけがえのない財産。これをどう活かすか?成長するか否かの分かれ目。
仮説検証を繰り返すことで、先読み力が向上できる。

PDCAは、怠惰な本質部分に立ち向かうための方法論ともいえる。

OODAとの違い。Oが「Observe(観察)」2つ目のOが「Orient(方向付け)」Dが「Decide(判断)」Aが「Action(行動)」。
OODAは、比較的短期的な活動と感じた。短期的なPDCAを表現するためのものというか。。。自然にみんなやっている。それを名付けただけ。おそらく語源が戦争のゲリラ戦に対する対応から来たからだと思われる。中長期はPDCAが必要らしい。つまり、長期的な管理はPDCAでよく、一定期間の間の活動は、OODAとして管理できればよい。PDCAのDの中に、OODAがぶら下がっているイメージ。
これは今までの活動を分析して敢えてそれに名づけをしたもののようなもの。本質的には、やはり仮説検証だと思う。


【今後活かせること、具体的なアクション】
・DOをするうえで、社員の士気(背景やwhyを理解して、腹落ちさせて実行させること)がとても重要。
・管理ポイントと見える化の明確化。「目で見る管理」=「管理ポイント」+「見える化
見える化への絶え間ない挑戦を前提とした取り組み。
・仮説検証、仮説検証の繰り返し(高速で)。先読み力の向上。精度がどんどん上がっていく。
・「とりあえずやってみる」ではやらない。きちんと仮説を立てる。
・仮説思考。(物事を仮定しPDCAを廻すことは、解に最も早く到達できると実証されている方法論。マッキンゼーでも推奨されている)


【気に入った文章・言葉を3つ】
・やらない理由など無限に見つけることができる。リスクを読んだらそれで行動を止めるのではなく、その挑戦で得られるものを明確にした上で行動し、PDCAをまわすことで正しい自信が得られる。
・人、性善なれど、性怠惰なり
・成功に秘訣などない。それは周到な準備、不断の努力、失敗からの学習の結果である。


【こんな人に読んでほしい】
PDCAとかOODAとかマネジメントを知りたい人
トヨタウォルマートの強みを知りたい人
そもそもPDCAって何?という人
組織、個人としての成長のヒントが欲しい人
組織の思惑を防止したい人